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小耳症とその他の耳介変形の治療oginobunrui2.gif

小耳症は、耳の先天的な発生の障害により耳介がない、あるいは小さいといった症状の疾患です。耳がまったく無いことは少なく、耳たぶだけあるタイプが多いです。また、ある程度の耳の形が残っている場合もあります。
図は、荻野分類です。Grade1-2の小耳症では、外耳道がある場合もありますが、Grade3-4では、外耳道閉鎖症を合併しています。
正常な耳の大きさは、耳介長が5.5-6.6cmで、幅は成人では耳介長の55%ほど、6×3.3cmというところでしょう。耳介の大きさは3歳までに85%近く発達して、 8-9歳で90%くらいに達すると言われます。
小耳症は、生まれてすぐに耳介の変形や欠損として診断され、産科または小児科から私たち形成外科と耳鼻咽喉科へ紹介されます。

赤ちゃんが小耳症と判ったご両親の衝撃は大きく「みかけ上、ふつうの耳を作れるのだろうか」「耳は正常に聞こえるのだろうか」と悩んでおられます。形成外科医師の説明を受けても、不安と緊張から、一度では十分にわからないこともあると思われます。

耳の聞こえについては、音を感じる部分の「内耳」は正常なのですが、外耳道と鼓膜がないために上手く聞こえません。ただ、片方だけの小耳症の患者さんは、よいほうの耳が普通に聞こえるため、日常生活にとくに問題はありません。両側の小耳症では、特殊な補聴器を使用することで言葉もしゃべれるようになります。

また、みみ=外耳はもともと複雑な形態をしていますから、さまざまな変形がおこりやすいといえます。小耳症以外のよくみられる耳介変形についても紹介します。


 

小耳症の発生頻度

小耳症の発生頻度は6000から8000人に一人と言われます。一万人に一人という報告もあリます。かなりまれな疾患といえるでしょう。
また、男性:女性の比率は2:1で男性に多く、右側:左側:両側の比率は5:3:1で、右側に多く発症します。

胎生期の発生過程において、その部位を栄養する血管系の何らかの異常によって、本症がおこるのではないかと推察されています。

小耳症と関連した障害

顔面の変形:
小耳症は胎生期の第一第二鰓弓といわれる部分の障害で起こると考えられております。
第一第二鰓弓の発生異常は「第一第二鰓弓症候群」とよばれる疾患を引き起こし、小耳症はその一部と考えられます。実際に患者さんのお顔をよく診察すれば、耳だけでなく顎の骨、皮膚皮下組織などの軟部組織も小さいことがしばしば認められます。

頚部脊柱の異常:
フランスのGoldenharは1952年、鰓弓症候群に結膜上類皮腫、頸部脊椎の異常を合併した患者を報告し、その後、Goldenhar症候群と呼ばれています。

その他の合併症:
さらに稀な疾患ですが、トリーチャーコリンズ症候群という、両側小耳症、頬部低形成、下眼瞼の部分的欠損、下顎低形成などの症状を呈するものがあります。


 

小耳症と聴力

 小耳症では外耳道閉鎖を合併することが多いので、聴力障害を来します。

音は空気の振動ですから、鼓膜、耳小骨、内耳と言う順番で伝わり、最後に脳で音として認識されます。内耳に関しては、大きな異常がないため、たとえ両側に外耳道閉鎖があっても、適切な「骨伝導補聴器」を使用することで、音は聞こえますから、ちゃんとしゃべることも出来ます。

外耳道造設手術は、その手術自体がかなり難しく、それを手がける耳鼻科専門医も少ないようです。そのため、一側のみの小耳症、外耳道閉鎖では片耳が聞こえているので、外耳道をいじらないことが多いようです。

さまざまな耳介の変形

耳介は、複雑な形態をしていますので、形の異常が生じやすいのかもしれません。

細かく見ると、しばしば、見られます。

  • 折れ耳  耳が折れて倒れているもの
  • 埋没耳  耳介の上前端が埋まった状態。引き出すとちゃんと出てくることが多い。
  • 立ち耳  耳が立ちすぎて、横に広がった状態ですが、アジア人は白人よりも立ち耳気味です。

その他にも、さまざまな変形があり、必要に応じて手術治療を行います。