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1歳から1歳3ヶ月ごろ:口蓋裂形成手術

口蓋形成術は口蓋裂の程度によりいくつかの手術法のなかから、患者さんにあったものを選択して行います。口蓋裂手術は、単に裂を閉じるのではなく、言葉を話したりすることに重要な「鼻咽腔閉鎖機能」を得るために行われます。

口蓋裂の裂型と手術時期

  • 軟口蓋裂は全身状態に問題なければ、1歳ごろに手術をします。
  • 多くの場合には、生後15ヶ月(1歳3ヶ月)に口蓋裂手術をしています。
  • ときに大きな裂である場合、軟口蓋を先行閉鎖する二期法を行う場合もあります。
  • 唇裂と同時に軟口蓋を癒着手術をすることもあります。

    *  この場合も15ヶ月から1歳半で硬口蓋を閉鎖しています。

耳鼻科による滲出性(しんしゅつせい)中耳炎の管理

口蓋裂があると滲出性中耳炎を起こしやすくなります。(約90%以上)
中耳に水が溜まると、難聴を来すこともあります。必要な場合には、耳鼻科医によりチュービング処置を口蓋裂の手術と同時に行います。

そのためにも、事前に耳鼻科医による定期的な診察を受ける必要があります。  

新生児期:形成外科等へ最初にかかる時期

口唇裂、口蓋裂の程度の診断。手術、今後の治療スケジュールの説明。       
哺乳障害の程度の把握:哺乳障害の場合、哺乳指導を行なう。        
定期的に診察の上、哺乳状態、体重増加の程度をチェックして手術予定をたてます。 

完全唇顎口蓋裂の場合は、歯科の協力で口蓋床を使用しています。
当院耳鼻科、あるいは近所の耳鼻科にて、滲出性中耳炎の管理をして頂きます。

生後3、4,5ヶ月:口唇裂初回手術のため入院

全身麻酔で手術を行います。完全唇顎口蓋裂の場合は、術前顎矯正の状況を見て手術時期を決定します。通常、生後4〜5ヶ月位になります。

 唇裂単独の場合には、体重が6kg以上を目安として手術時期を決めます。全身状態が良ければ、6kg以下でも問題ありません。ただし、心臓などの全身的な病気がある場合は、その治療を優先して口唇の手術を延期する場合もあります。        

 口唇形成手術は、単に割れている唇を縫い合わせるだけでなく、口唇を構成する口輪筋(口の周りを囲む筋肉)を正常な形に縫合します。こうすることによって機能回復を目指します。

 両側口唇裂の場合には、裂の広さや、中央の口唇の突出の状況に応じて両側を一度に手術する場合と、左右別々に手術する場合があります。術後は外来にてキズあとの状態をチェックします。
多くの場合、両側唇裂は、左右同時に閉鎖を行います。 

1歳6ヶ月ごろ:一語文を話し出す頃です

1語文:ママ、パパ、ブーブー、などの出始めの時期といわれます。 
口蓋裂があると言葉の出始めが遅れることもあります。少々遅れても心配ありません。 

4〜5歳ごろ:ことばの評価の時期です

 この時期になると本人の協力が得られるので本格的な言語評価、言語訓練が始まります。
言葉の異常・構音障害があれば、言語訓練を行います。

鼻咽腔閉鎖機能検査(鼻咽腔ファイバー、鼻咽腔レントゲン検査など)を実施して、追加手術(咽頭弁形成術等)をするかを決定します。 

5〜6歳の就学前の時期:口唇裂の細部修正手術

口唇の傷あとや鼻などの変形に対して、小学校入学前をめどに修正手術を行うこともあります。5歳くらいまでの幼時期の成長の盛んな時期には、口唇の追加手術はしないように考えています。
歯科では、幼稚園くらいまでは近所の歯科に診て貰い、虫歯予防の指導をしていただきます。口唇裂があると、歯並びが悪くなり虫歯ができやすいのです。
完全唇顎口蓋裂で、術前矯正を行っていた場合、適切な時期まで当院歯科で経過を見ています。 

6〜7歳ごろ:臼歯がはえてきて、そろそろ歯科矯正の時期です

こども病院内では歯科矯正ができません。そのために、東京歯科大学千葉病院(千葉市美浜区)などの専門病院を紹介しています。 

8〜10歳ごろ:顎裂骨移植手術の時期

歯茎の部分に裂があった場合(顎裂)に、この頃に骨移植による治療を行います。

よりよい歯並びを作っていくために行う手術です。

この時期、切歯(前歯)が永久歯にかわります。矯正歯科と連携を取りながら、顎裂骨移植の時期を決定し手術を行ないます。永久歯の犬歯が生えてくる直前や、それよりも早い時期に行っています。

骨移植の術後は、顎裂で左右に分断されていた歯槽(ハグキ)から、一体となった歯列弓となります。
また顎裂骨移植をすることで、顎裂に落ち込んでいた鼻翼部分は挙上されます。
歯科的には歯牙の誘導、拡大した歯列の保定などの効果があります。 永久歯への生え替わりには個人差があるので、骨移植の時期も個人差があります。

骨移植は現在では、基本的な手術として行われるのが当たり前になっています。よりよい歯科治療を行うための手術です。採骨は腰の骨(腸骨)を用いますが、1cm程度の皮膚切開で採取する低侵襲手術を行っています。 

骨格の成長が終わってから:必要なら外科的矯正手術を行います。

反対咬合が著しく、歯科矯正のみでは噛み合わせの治療が不可能な場合、成長終了を待って顎骨骨切り術を行ないます。上顎骨のみ、または下顎骨のみ、あるいは上下顎骨切り術となります。

現在こども病院で実施する口蓋裂の手術では、上顎の劣成長も歯科矯正で治療できる程度ですむ場合が大半です。